主従な二人に50の質問──ヴィル&ラティ 1、お二人の名前を教えてください。 「ヴィルモアだよ」 「ラティーシャです」 「フルネームは?」 「ラティーシャ=フォルゼンになりますね」 「僕は忘れた」 2、どちらが主で、どちらが従ですか? ヴィル「違うよ。僕は主だけどラティは犬だよ」 ラティ「労働条件の改善と呼称の変更を求めます」 3、どうしてそうなったんですか? ヴィル「拾ったから」 ラティ「食べ物を貰ったので」 4、お二人の年齢、性別、性格を教えてください。 ヴィル「年齢は分からない。外見は二十代だけど、一回死んだし。性別は男だよ」 ラティ「性格はあれですね、愉快犯」 ヴィル「ラティ犬は犬だよね」 ラティ「二十歳の女です。人間です。二足歩行です。繰り返しますが人間です」 ヴィル「高等な思考を働かせられないんだよね」 ラティ「……聖水ぶっ掛けていいですか」 ヴィル「それ位じゃ僕消えないよ」 ラティ「知ってます」 5、お二人の身分差はどれくらいですか? ヴィル「身分差以前に種族が違うしね」 ラティ「でもヴィルは元人間でしょう? その時は?」 ヴィル「さあ、忘れちゃったよそんなの」 ラティ「と、まあそんなことで、雇い主と雇われ人という以外では特に差はなさそうです」 ヴィル「生きてるか死んでるかの差もあるけどね」 ラティ「それは身分じゃないですしね」 6、二人の出会いは? ヴィル「聞いてよこれ、道端で倒れてていきなり食べ物請求してくるの」 ラティ「いきなりこれ扱いですかいいじゃないですかビバ貪欲な生命力」 7、その時すでに主従でしたか?(生まれながらの姫と騎士等)それとも後から主従関係が成立したのですか? ヴィル「後からだよね」 ラティ「その時初対面ですしね」 8、お互いの第一印象はどうでしたか? ヴィル「何この変なの」 ラティ「やたら感情こめて言うの止めて貰えませんか」 ヴィル「わー、人間が倒れてるー」 ラティ「棒読みも止めてくれませんか。……私はそうですねぇ、わぁ、食べ物恵んでくれるなんて優しい人だ」 ヴィル「ラティ犬ってさ、子供の頃にしょっちゅう誘拐されかかってたタイプでしょ」 ラティ「物だけ貰ってトンズラですよ」 ヴィル「…………子供の頃から神経図太いんだね」 9、会話する時、従キャラは敬語ですか? それとも対等に話しますか? ヴィル「そういや敬語だね。名前は呼び捨てでいいって言ったけど」 ラティ「はあ、まあ一応」 ヴィル「全然敬意は無いけどね」 ラティ「媚びへつらいますか。ヴィルモア様、御用は何なりと此の下僕めにお申し付け下さいませ」 ヴィル「やだ気持ち悪い」 ラティ「うっわ暴言。傷付きました。嘘ですけど」 10、お互いのことを何と呼んでいますか? ヴィル「ラティ犬」 ラティ「ヴィル。……で、その『犬』は何時外れるんですか」 ヴィル「外すの?」 ラティ「何ですかその意外そうな顔」 11、こう呼んでほしい、という希望はありますか? ヴィル「今のままでいいよ。ラティ犬もそうだって」 ラティ「一言も言ってませんよねそんなこと。年で耳が遠いんですか」 ヴィル「君ほど耳と脳の間に隙間はないからすぐに伝わってるよ」 ラティ「つまり馬鹿だと言いたいんですね」 ヴィル「そう思いたければどうぞ。その通りだから」 12、主キャラと従キャラ、どちらが強いですか?(身体的、あるいは精神的に) ヴィル「僕でしょ」 ラティ「ちょっと私じゃ身体的には勝てないですね」 ヴィル「不死者のヴァンパイアと生身の人間じゃねぇ。精神は君の方が図太いね」 ラティ「私は儚い乙女です」 ヴィル「自分で言い切る辺りが図太いって言うんだよ」 13、お二人はどれくらい親密ですか?(身分差故に距離を置いた関係、友人関係、心酔等) ヴィル「飼い主と犬くらいには」 ラティ「少なくとも別に距離は置かないし、友人とも違うし、心酔もしてないですね」 ヴィル「ある意味親密だよね。種族間を越えての関係」 ラティ「その種族は人間と不死者という意味で言ってますか」 ヴィル「ううん。飼い主と犬」 14、主キャラは他にも多くの従者を持ちますか? ヴィル「いないよ。魔術で作れるけど面倒臭いし」 ラティ「必要ないですしね。掃除なんか私だけでも手は足りますから」 15、その中で従キャラの位置づけは? ヴィル「犬」 ラティ「どうせ即答するだろうと思ってましたよ」 ヴィル「ご期待に添えて何より」 ラティ「期待じゃないです」 16、従キャラの役割はどのようなものですか?(護衛、身の回りの世話等) ヴィル「掃除とたまに来る人間の追い払い」 ラティ「外もきちんと掃除して、夜も火をたくようにしたら滅多に人も来なくなりましたけどね」 ヴィル「たまに夜盗とかは来るね」 ラティ「それは私じゃ無理なのでヴィルがちょっと流血沙汰」 ヴィル「不法侵入が悪いんだよ」 17、 これだけはして欲しくない、ということはありますか? ヴィル「別に。ラティ犬が何やったってどうせ痛くも痒くもないし」 ラティ「朝から耳元で聖句を唱えてみましょうか。雇い主の幸せのために。何て素晴らしい私」 ヴィル「棺に詰めて釘で蓋打ち付けるよ」 ラティ「それはして欲しくないですね。お腹が空きます」 ヴィル「──たまに思うんだけど、君、食欲が一番の主でしょ」 18、逆にして欲しいことは? ヴィル「今のところ文句はないから無い。ただ何考えてるか分からないよね」 ラティ「最後はそっくりお返しします。そうですねぇ、一度炎天下にジョギングをして下さい」 ヴィル「君が真っ暗な棺の中に一日入ったきりになっていてくれるんだったらいいよ」 ラティ「やってくれるんですか?」 ヴィル「君が棺の中にいる間にね」 ラティ「うわそれ絶対やらない気だ」 19、従キャラは、必要とあれば主君以外にも膝をつきますか? また、主キャラはそれを許せますか? ヴィル「そもそも僕にも膝ついたりしてないよね」 ラティ「雇い主ではありますけど、だからって忠誠を誓う性格でも無いですから」 ヴィル「忠誠誓ったら呼び方を『忠犬ラティ』にしてあげる」 ラティ「誓いません」 20、相手が約束を破ってしまいました。どうしますか? ヴィル「まー、容量少ない頭の中身じゃ覚え切れなかったんでしょ」 ラティ「諦念漂うその台詞は何ですか」 ヴィル「犬に『お預け』って言って守らなかったときと同じくらいの感覚」 ラティ「ヴィルは破るときは自覚があると思います。のでそれに見合った何かを請求します」 ヴィル「例えば?」 ラティ「焼き菓子一袋」 ヴィル「安っ」 21、主キャラが怪我をしてしまいました。どうしますか? ヴィル「どうするも何も、すぐに治るし」 ラティ「不死者の応急手当はちょっと知らないですね。傷口抉るのは出来ますが」 ヴィル「無いと思うけど、もし僕が怪我しても近寄らないでね」 ラティ「あ、本気でやると思いましたね今」 22、従キャラが怪我をしてしまいました。どうしますか? ヴィル「……どうするって何を?」 ラティ「形だけでも心配とかしてくれないんですか冷血漢とかどさくさに紛れて言ってみます」 ヴィル「悪いけど血は元から冷たいよ。まあ手当てはしてあげる」 ラティ「本当ですか?」 ヴィル「うん。怪しい薬とかで」 ラティ「自分でやります」 23、主キャラに無礼を働く者が! その時の従キャラの反応は?(抜刀する、丁寧に咎める等) ヴィル「何かするの君?」 ラティ「わー、物好きがいるー。と思います」 ヴィル「つまり何もしない訳だね」 24、また、それを見た主キャラはどうしますか?(止めに入る、黙ってみている等) ヴィル「いや、その点に置いては何も期待してないから特に何も無いね」 ラティ「それは良かった」 ヴィル「後からちょっと嫌がらせするけど」 ラティ「陰湿だ」 25、普段どれくらい一緒にいますか? ヴィル「毎日三、四時間くらいかな」 ラティ「ヴィルが起き出してから食事に行くまでの間と、帰ってきてから少しですね」 26、今日は休日です。一緒に過ごしますか? それとも別々に過ごしますか? ヴィル「休日って概念が特に無い」 ラティ「毎日普通に生活しているだけですもんねぇ」 27、一緒に居ると安らぎますか? それとも緊張しますか? ヴィル「安らがないけど緊張もしない」 ラティ「まあ、普通です」 28、相手がいないと日常生活に支障をきたしますか? ヴィル「掃除する人がいなくなるけど、それ以外は別に」 ラティ「金銭面と生活面で支障が出ます」 29、喧嘩はしますか? ヴィル「犬相手に喧嘩する?」 ラティ「暗にそんなレベルの低い争いするわけないじゃんとか言ってませんか」 30、その主な原因は何ですか? ヴィル「さあ」 ラティ「喧嘩するほど熱い性格じゃないですしねぇ、どっちも」 31、謝るのはどちらからですか? ヴィル「何にせよ、悪い事だと思ったら謝るよ」 ラティ「そういうところ、人がいい、もとい、ヴァンパイアがいいんですよね」 32、また、謝られたらすぐに許しますか? ヴィル「僕は寛大だから」 ラティ「私も許しますよ」 ヴィル「何でラティ犬すごい偉そうなの」 33、場合によっては、従キャラは主キャラの命令に背くことも厭いませんか? ヴィル「そもそも君、人の話聞いてないでしょ?」 ラティ「聞いてますよ。それに返答を返さないで私の用件を喋るだけで」 ヴィル「それも聞いてないっていうんだよ」 34、主キャラは、命令には絶対服従して欲しいですか? 逆らわれても許せますか? ヴィル「絶対服従が欲しいんだったらさっきも言ったけど魔術で作った方がいい」 ラティ「それじゃ駄目なんですか?」 ヴィル「面白くないし、何より面倒臭い。……それに」 ラティ「それに?」 ヴィル「犬が言うこと聞かなくってもそんなに怒る事もないでしょ」 ラティ「どうしてもそういう結論なんですね」 35、お互いの間に「命令」は多いですか? ヴィル「多い?」 ラティ「いいえ」 36、主キャラに質問です。従キャラのことをどう思いますか? ヴィル「さっきから言ってるけど、犬だってば。他には無いよ」 37、従キャラの忠誠の度合いはどれくらいだと思いますか? ヴィル「忠誠はほとんど無いでしょ」 ラティ「よく分かりましたね」 ヴィル「誰でも分かるよ」 38、その忠誠に満足していますか? ヴィル「ラティ犬に忠誠貰ってもねぇ……ってことで今のままでいいや」 ラティ「今、暗に役に立たないし、って思いましたね?」 ヴィル「あからさまに言ったつもりだったけど?」 39、従キャラに命令するのは普通ですか? それともなるべく命令はしたくないと思いますか? ヴィル「何かをしておいて、とかはたまに言うけど、頻繁じゃないよ」 ラティ「別に雇ってる身なんですから好きにどうぞ」 40、従キャラが、自分以外に忠誠を誓うことはあると思いますか? ヴィル「無いんじゃない? 僕以外にどうってことじゃなくて、そもそも忠誠を誓うことが」 ラティ「私は私に忠実です」 41、従キャラに質問です。主キャラのことをどう思いますか? ラティ「性格は微妙に捻じれてますけど、善人ですね。ヴァンパイアの癖に。よく今まで滅ぼされないで来たなと思います」 42、主キャラが、自分のことを気にかけてくれている度合いはどれくらいだと思いますか? ラティ「……飼い犬程度には」 ヴィル「賢くなったねラティ犬。頭撫でてあげようか」 ラティ「うーわー腹立つー」 43、その状態に満足していますか? ラティ「犬扱いは改善して欲しいですが慣れてきている自分が怖い」 ヴィル「犬小屋行く?」 ラティ「出て行きますよ」 44、主キャラに命令されるのは普通ですか? 命令されるのは嫌ですか? それとも当然だと思いますか? ラティ「無茶苦茶なことじゃなければいいですよ。給料貰ってますからね」 ヴィル「無茶な事言っても君やらないでしょ」 ラティ「出来ない事はやれません」 45、主キャラ以外に忠誠を誓う、ということは未来永劫有り得ませんか? ラティ「私は私の心に素直に生きるので未来永劫何かを貫くということ自体がまずないです」 ヴィル「まあ好きにしたらいいんじゃない」 46、お互いに、相手を理想の主君(あるいは上司)、理想の従者(あるいは臣下、部下)だと思いますか? ヴィル「いいや」 ラティ「いいえ」 ヴィル「……理想って意味知ってる?」 ラティ「少なくても目の前にいる雇い主はそうじゃないということは分かります。が、雇用条件は理想に近いですね」 47、従キャラが主キャラに忠誠を誓った際、特別な宣誓や言葉はありましたか? 差し障りがなければ教えて下さい。 ヴィル「何も無いよ」 ラティ「忠誠誓ってないですからね」 48、自分たちが「主従だ」と感じるのはどんな時ですか? ヴィル「僕が帰ってきたら寝床がやたら綺麗になっていた時?」 ラティ「お気に召しましたか」 ヴィル「ああ全くもう薔薇がやたら耽美に飾り付けられててどうしようかと思ったよ」 ラティ「私のちょっとした気遣いです」 ヴィル「嫌がらせの間違いでしょ」 49、逆に「主従っぽくない」と感じる時は? ヴィル「僕の目の前で異世界の生物になってる時かな」 ラティ「誤解を招く表現は止めてください」 ヴィル「何? じゃあ、食べ物を詰め込みすぎて原型が分からなくなってる顔を見た時、って言えばいい?」 ラティ「そういうことは言わなくていいんです」 50、お疲れ様でした。最後に一言どうぞ。 ヴィル「ラティ犬、いつ尻尾生えてくるの?」 ラティ「ヴィルこそ、いつ頭に角が生えてくるんですか」 お題提供:主従な二人に50の質問(La・campanella) |